頻脈性不整脈の治療方法「カテーテルアブレーション(経皮的心筋焼灼術)」とは?

カテーテルアブレーションとは?

カテーテルアブレーションとは、頻脈性不整脈の治療方法の一つです。

カテーテルアブレーションは、脈が速くなる不整脈(頻脈性不整脈)に対して、不整脈の原因となっている場所をカテーテルで破壊する治療方法です。

不整脈には、徐脈性不整脈と頻脈性不整脈があります。
正常な心臓は電気刺激によって働きがコントロールされており、洞結節という場所から電気刺激が起きて、電気刺激の通り道によって心臓全体に伝わっていきます。

徐脈性不整脈の原因は、洞結節の電気刺激が遅くなること、電気の通り道が伝わりづらいこと、電気の通り道が切れていることであり、その結果として心臓の脈が遅くなります。
徐脈性不整脈の治療方法は人工的な電気刺激で心臓を動かすペースメーカーの移植術です。

一方で頻脈性不整脈の原因は、洞結節以外の場所からも電気刺激をたくさん発生させてしまうこと、異常な電気の通り道によって電気刺激を複数伝えてしまうことです。
治療方法は薬物治療、不整脈を電気的に止める埋め込み型除細動器、そして、今回紹介するカテーテルアブレーションです。

カテーテルアブレーションの詳細

アブレーションとは、頻脈性不整脈の原因となっている場所(①洞結節以外の電気刺激を発生させている場所 ②異常な電気の通り道)の心筋を壊すことです。
アブレーション治療をカテーテル(体内に挿入する柔らかい細い管)で行うことを、カテーテルアブレーションといいます。

カテーテルの先端から、高周波や凍結凝固、レーザーなどの物理化学的エネルギーを出すことで、治療する心筋組織を破壊することができます。
高周波は電波や音波の一種で、治療用の高い周波数を用いて焼灼します。

レーザーは、治療用の波長を持った光を当てることで、凍結凝固は液体亜酸化窒素を用いて凍結させることで、心筋組織を破壊します。
高周波は古くから使われていますが、凍結凝固は比較的最近になって使われるようになり、治療時間が短くなってきています。
不整脈の原因となっている場所に応じて、これらの治療器具を使い分けて治療します。

さらに、カテーテルは日々進歩しており、先端のカーブを体内で調整できるもの、大きな焼灼巣を形成できるもの、血流に邪魔されず安定的な出力で焼灼できるもの(血栓形成予防効果が高い)、などが開発されています。

カテーテルアブレーションはどのような病気に行うのか?

カテーテルアブレーションの適応は、頻脈性不整脈の種類、症状の有無、年齢、職業などを総合的に検討して決定します。

カテーテルアブレーション適応となる頻脈性不整脈の種類

まず、適応となる頻脈性不整脈の種類は、遺伝性不整脈(ブルガダ症候群、カテコラミン誘発多形性心室頻拍)、WPW症候群、他の心室早期興奮症候群(房室回帰性頻拍)、房室結節リエントリー頻拍、心房粗動、心房頻拍、心室頻拍、心室細動です。

遺伝性不整脈は、薬物治療や埋め込み型除細動器を優先しますが、治療効果が不十分など特殊な例に対して、カテーテルアブレーションを検討します。
今後発展していく可能性のある治療です。

カテーテルアブレーション適応となる症状とは?

症状について、不整脈による症状がある場合は積極的に治療をすることが多いです。

不整脈の症状とは、めまい、ふらつき、動悸、失神などです。
特に失神は、脈が早くなりすぎることで血圧が下がっていることを反映するため、早急に治療を検討する必要があります。

一方で、症状がない場合の治療推奨は一段階下がります。

カテーテルアブレーション適応となる年齢とは?

年齢について、若年者の場合は積極的に治療します。
理由は、アブレーションの成功率が高いこと、薬物療法が不要になることなど、メリットが大きいからです。高齢者でも、アブレーションは積極的に行います。

しかし、長年持続している心房細動など一部の不整脈では、アブレーションを複数回行う必要があること、治療成績が悪いことがわかっています。
そのため、アブレーションよりも薬物療法が患者さんにとって良いケースがあります。

カテーテルアブレーション適応となる職業

職業によってもアブレーションの適応を判断することがあります。

不整脈で人の生命に重大な影響を及ぼす可能性のある職業として、バス・タクシー運転手、運送業があります。
業務中に不整脈による失神などを起こしてしまうと非常に危険なので、積極的に治療を検討します。

また、不整脈を起こしやすい職業として、競技スポーツ選手が挙げられます。
不整脈は激しい運動や交感神経が興奮することで起きやすいため、日常から激しい運動が想定される場合などに治療を検討します。

カテーテルアブレーションの治療の手順

実際の検査の手順について説明します。

まず局所麻酔を使い、足の付け根にある太い血管から検査用カテーテルを複数本挿入して、心臓に到達させます。

先に、心臓電気生理検査を行います。
検査用のカテーテルで、不整脈の原因となっている電気の通り道の異常を確認し、治療するべき場所を決めます。

現在では、3Dマッピングで治療する場所を三次元的に把握することができます。

治療するべき場所が確認できたら、アブレーションを行います。治療部位に応じて、高周波やレーザー、凍結凝固を使い分けます。

治療した後は、不整脈が起きづらくなっていること、合併症が起きていないことを確認して終了です。
検査から治療終了まで2−3時間程度ですが、検査の進み具合ではさらに短時間のときや、逆にとても長くなってしまうときがあります。

凍結凝固は広い範囲で心筋組織を破壊できますので、治療が早く終わる傾向にあります。

カテーテルアブレーションを行うときには、鎮静剤(軽い全身麻酔薬)を使うことが多いです。
鎮静する理由は、患者さんの苦痛の除去と、アブレーションを安全かつ適切に行うためです。
局所麻酔の痛みや、狭いベッドで安静にしていること、治療時間が長くなることがありますので、寝ていた方が辛さを軽減することができます。

また、アブレーションはミリ単位で行いますので、できるだけ体の動きを減らした方が良いのです。

カテーテルアブレーションの入院期間

入院期間は、不整脈の種類や患者さんの状態、病院の方針などによって変わります。
多くは、2泊3日から1週間程度であり、3泊4日が平均的だと思われます。

入院時は、採血やレントゲンなどの検査と、担当医師から詳しい治療説明があります。
カテーテルアブレーションを行った後、3時間程度はベッド上で安静に過ごします。
その後、心電図などの検査で異常がないこと、合併症がないことを確認して退院日を決定します。

どのくらい効果があるの?成功率、合併症率、再発率

カテーテルアブレーションの初期成功率は、不整脈の種類によって異なりますが、60%-97%程度です。
不整脈の原因が“異常な電気の通り道”の場合は、治療効果は高い傾向があります。

一方で、心房細動のように洞結節以外に電気刺激を発生させているものや、心筋に変化が出てくるような不整脈では、治療成績が悪い傾向にあります。

遺伝性不整脈の治療成績は、今後さらなる研究の蓄積が必要です。
カテーテルアブレーションは根治治療なので、治療が成功すると術後の定期的な通院や薬物治療は不要となります。

治療が成功したとしても、時間の経過で不整脈が再発する可能性があります。
原因は、不整脈の原因となる心筋を完全に破壊しきれなかった場合や、新たに不整脈の原因となる場所がつくられた場合などです。

再発した場合には、再度カテーテルアブレーションを検討しますし、薬物療法や埋め込み型除細動器など、他の治療方法も総合的に検討していきます。

カテーテルアブレーションの合併症は、3つに分類することができます。

  1. 血管にカテーテルを通すことで起きるもの(血管損傷、冠動脈損傷、血栓塞栓症、血腫、動静脈瘻、感染症など)
  2. 心筋を破壊するときに起こるもの(心筋損傷→心タンポナーデ、徐脈など)
  3. 物理化学的エネルギーによって心臓の周りにある臓器を傷害するもの(食道損傷、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、胃蠕動傷害など)

合併症の頻度は、治療する不整脈の種類によって変わります。
複雑で長時間を要する不整脈では合併症率は高くなる傾向があります。

カテーテルアブレーションはX線を使用しますが、通常の検査に比べて長時間になる傾向があり、X線被曝量も増えます。
ただ、患者さんは数回治療を行ったとしても、X線被曝で大きな問題になることは少ないです。

治療に携わる医療従事者は、治療の数だけX線を浴びますので防護服を用いて被曝量を軽減しています。

代表的な疾患の初期成功率、合併症率、再発率を記載します。施設や臨床研究によって大きく異なるため、あくまで目安となります。

WPW症候群成功率94%、合併症率2-10%、再発率8- 25%
房室結節リエントリー頻拍成功率97%、合併症率1- 2%、再発率 5%
心房細動成功率60-90%、合併症率2- 3%、再発率15- 40%
※心房細動は、病歴や治療方法が多彩なので、大きなばらつきがあります。

まとめ

今回は、カテーテルアブレーションについてご紹介しました。
今後も皆さんに役立つ情報を掲載していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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